後藤研究室

後藤 厚宏 教授

後藤 厚宏 教授

プロフィール:
1984年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了(工博)。NTT研究所にて並列・分散処理アーキテクチャ、インターネットセキュリティ技術、高信頼クラウドコンピューティグ技術、ID管理技術の研究開発等に従事。2007年よりNTT情報流通プラットフォーム研究所長、2010年よりNTTサイバースペース研究所長。IEEE Computer SocietyのBoard of Governor, 情報処理学会理事、enPiTセキュリティ分野代表を歴任。2011年7月より本学教授。2014年4月より同情報セキュリティ研究科長。2015年11月より内閣府SIPプログラムディレクター。2019年2月よりサイバーセキュリティ戦略本部員。日本学術会議連携会員。2017年4月より本学学長。

Q:後藤研究室での現在の主な研究テーマはどのようなものですか?
IoT セキュリティとグローバルな評価・認証基準
ダークウェブ検索エンジンとダークウェブ構造の可視化
サイバーリスクの保険・補償制度に関する提言
IoT/CPS機器におけるフィジカル空間測定に生じる脅威と対策
外部委託先のセキュリティ評価
巨大インターネット事業者のプライバシーポリシー分析


Q:後藤研究室に在籍されている学生の皆さんやOBOGはどのような方々ですか。進学のきっかけや修了後の状況等について教えてください。
後藤研の学生もOBOGも、大変バラエティに富んでいます。年齢構成も幅広く、上は50代後半(もうすぐ還暦?)の方も。また、仕事も官公庁からICT業界、金融・保険業界、などなど。情報セキュリティの分野は幅広いですが、「実は○○では有名人」という人も混ざっています。今春、将来のサイバーセキュリティエキスパートを目指して、二人の学部卒の若手が入ってくれました。進学のきっかけはさまざまですが、修了後は、日本のサイバーセキュリティを支えるエキスパートとして、官公庁や産業界で活躍しています。

Q:これまでに指導された学生の皆さんの研究テーマについて教えてください。
バラエティ豊富なメンバそれぞれが、幅広いテーマの研究に取り組んでくれています。
まず、マルウェアの静的解析手法や未知マルウェア対策技術の研究、脆弱性管理の自動化やWAFの検知制度向上に関する研究、CSIRT構築やOSINTに関わる研究など、サイバーセキュリティ技術そのもの研究があります。
また、パブリッククラウド利用におけるセキュリティ脅威分析と防御策、政府情報システムにおけるクラウドサービス導入に関する諸問題など、企業や官公庁のクラウドに関するもの、またスマートデバイス・IoT機器や産業制御システム等の産業界でのセキュリティ課題についての研究も多くあります。 インシデント情報開示と企業価値変動の関係や企業のM&AにおけるITガバナンスなどの企業経営の視点の研究、グローバルビジネスにおける内部脅威管理策の強化や国レベルのサイバーセキュリティ能力向上施策の評価のように、グローバルな視野にたった立った研究もあります。
社会人の学生の皆さんは、それぞれが仕事の中で見出した研究課題や、所属組織に直接役立つ研究テーマに取り組んでいる場合が多いですが、時には、敢えて、自身の日々の仕事とは異なるテーマにチャンレジし、自らの視野を大きく展開することを目指した研究もあります。

Q:後藤研究室ではどのような教育をされていますか。ゼミ、研究室ミーティングや個別指導等のスタイルについて教えてください。
毎週、藤本研究室との合同ゼミを開いています。発表を含めた一人の持ち時間は約30分。研究の進捗状況、外部のセミナーや勉強会で見つけた新たな課題や情報などを発表しあい、自由に議論します。議論には、OB/OGが中心の客員研究員も参加し、幅広い視点からのアドバイスが貴重です。時には発表者は議論テーマのきっかけ作りの役となり、ゼミの参加者全体での討論会に発展します。合同ゼミとは別に、それぞれの都合に合わせた予定での個別相談&議論の場も設けています。特に、修士論文の提出が近づいてくると論文の下書きをベースにじっくり議論します。
後藤研では、各自が目指す研究テーマだけでなく、関心の幅を広げて議論したり情報を共有したり、さらには外部に提言することを重視しています。その一環として、毎月1回、前月に報道されたセキュリティ関連のニュース記事を皆で分析する「月次セキュリティイベント振り返り」をおこない、その結果を、Webページで外部発信しています。また、3か月に一度くらい、週末に外部の有識者を招いての「拡大ゼミ」を実施して、他の研究室メンバやOB/OGを含め、学内外に跨るコミュニティ活動を進めています。

Q:どんな経験や関心を持つ学生に進学してほしいですか?
どんなことでも良いので、何かに関心をもっていてくれればウェルカムです。セキュリティ以外の経験でも、必ず研究に役立ちます。大学から直接進学してくれる場合も、新鮮な感性を活かして議論に参加し、研究を進めてくれることを期待します。

Q:後藤研究室に興味を持っている方へ向けてメッセージをお願いします。
「なんでもあり」が後藤研の特徴です。さまざまな研究テーマ、個々のメンバがもつ幅広い経験とコミュニティ、これらを掛け合わせて、新しい視点の研究成果を生み出せる研究室だと自負しています。研究室という「室」に閉じこもらず、組織を超えて、時には国境も超えた研究活動に関心をお持ちの方は是非お声がけください。

三浦海岸でのゼミ合宿
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