情報セキュリティ心理学(後期2単位)

准教授 稲葉 緑

1.授業のねらい

本科目では、「人間の行動は個人と周囲との相互作用から決定づけられる」という心理学の観点から、情報セキュリティに関する問題について解説する。情報セキュリティ事故やサイバー犯罪の原因を人間の意思の弱さなどに求めても、根本的な対策には結びつかない。この講義では、人間の判断や行動の多くが当事者にとっては合理的であることを前提として、不適切な判断・行動を選択するメカニズムについて説明する。また、対策の考案に役立つ心理学の知見を紹介する。

2.到達目標

  • 情報セキュリティ事故やサイバー犯罪について、心理学の視点から理解する。
  • 多角的に対策を考えるための知識や考え方を習得する。

3.授業計画(各回毎の内容)

 第 1回 心理学入門(心理学の視点とは、心理学への期待と限界)
 第 2回 被害者の心理1
 第 3回 被害者の心理2
 第 4回 消極的なセキュリティ行動に関する要因1
 第 5回 消極的なセキュリティ行動に関する要因2
 第 6回 消極的なセキュリティ行動に関する要因3
 第 7回 リスク行動と心理特性
 第 8回 情報セキュリティとSNS
 第 9回 攻撃者の心理1
 第10回 攻撃者の心理2
 第11回 対策の効果と課題
 第12回 チームによる対応の問題
 第13回 内部不正1
 第14回 内部不正2
 第15回 総括
※内容や進度は、受講生の受講目的や予備知識、研究内容等に合わせて調整することがある。

4.教科書(学生が履修するにあたって必携のもの)

特に指定しない。

5.参考書

授業内で紹介する。

6.関連科目

組織行動と情報セキュリティ
セキュリティ経営とガバナンス
リスクの経済学

7.成績評価の方法と基準

期末レポートにより評価する(90%)。なお、授業中のグループディスカッションなどにおける積極的な参加も評価対象とする(10%)。