不確実性下の意思決定（前期2単位）

客員教授　藤澤 美恵子

１．授業のねらい

情報セキュリティの分野においては、リスク=事故の発生確率x事故による損失（これは、統計学的には期待損失と呼ばれるものである）と表わされることが多い。しかしこのリスクのとらえ方は必ずしも一般的ではない。リスクの本質はそれが不確実であること、そしてその発生と影響の大きさにちらばり、バラツキがあることである。
本講義では、リスクを経済学ではどうとらえるのかを明らかにした後、3段階（確実性・予測可能なリスク・予測不可能なリスク）での意思決定に関する理論の紹介をおこなう。さらに、意思決定において必ずしも合理的には行動できない人間を対象とした行動経済学や実験経済学の理論等を紹介する。授業は主に経済学を基本として進めるが、経済学の予備知識は必要としない内容である。なお、実験手法に基づくアクティブラーニングを授業の中に取り入れ、理論の検証もおこなう。

２．到達目標

• リスクを不確実性という観点からとらえることの重要性の理解
• 意思決定（合理的な行動）に関する理論の理解
• 不確実性の下で意思決定の理解
• 実験による理論の検証と考察力の育成

３．授業計画（各回毎の内容）と開講形態

第5回目(5/6）・第9回目（6/3）・第13回目（7/1）は、Zoomでの授業とする。この3回は、アクティブラーニング（実験）を予定しており、感染防止のためZoomで実践とする。
上記以外は、原則として教室での対面授業を予定しているが感染状況等を踏まえオンライン授業（Zoom）に切り替える可能性もある。

第１回　オリエンテーション－経済学について
第２回　経済学と実験
第３回　行動経済学の誕生
第４回　行動経済学の理論（認知バイアス）
第５回　ゲーム理論（1）
第６回　ゲーム理論（2）
第７回　意思決定とは
第８回　確実性下の意思決定
第９回　リスク下の意思決定
第10回　不確実性下の意思決定
第11回　プロスペクト理論
第12回　ナッジ政策
第13回　囚人のジレンマ
第14回　認知バイアスとリンダ問題
第15回　経済学と意思決定

４．教科書（学生が履修するにあたって必携のもの）

特に指定しない。

５．参考書

意思決定理論、ゲームの理論、行動経済学に関するものを必要に応じてその都度紹介する。

６．関連科目

• 統計的方法論：統計的な実証分析を行うための手法に関する科目
• リスクマネジメントと情報セキュリティ
• 情報セキュリティ心理学：心理学の観点から情報セキュリティを扱う科目
• 特設講義（データ・サイエンスとアナリティクス）

７．成績評価の方法と基準

期末レポート(70 %)、実験への貢献度や中間レポートなどで(30%)総合的に評価する。

８その他（特記事項）

特になし。