知的財産制度(前期2単位)

客員教授 生越 由美

1.授業のねらい

わが国は、知的財産基本法を設置し、知的財産推進計画を策定し、現在、知財改革に取り組んでいるが、なかなか進捗していない面がある。
他方、AI、IOT、ビックデーターと知的財産の関連性が深まり、いろいろな産業分野で問題が起こっている。これらは情報セキュリティとも深く関連している。
これらの政策や事件や現状を含め、重要な知財政策の立案の理由を、知財制度の歴史、現状の問題点、今後の課題から検討することにより知財制度を深く理解することを目指す。

2.到達目標

  • 特許法、意匠法、商標法、著作権法、種苗法など、いろいろな知的財産制度の概要を幅広く理解する。
  • 情報セキュリティと知的財産の関連性を事例から理解する。
  • インターネット、デジタルデータ、ビックデータなどに関する知的財産とセキュリティの問題を理解する。

3.授業計画(各回毎の内容)

項目講義内容
1オリエンテーションわが国における今日までの重要な知財政策の立案理由を、知財制度の概観、知財制度の歴史、現状の問題点、今後の課題を情報財の観点から概説する。
2産業競争力と知財政策米国・ヤングレポートが与えた各国の産業競争力強化における知財政策の位置付けを確認し、パルミサーノレポートが今後与えると予想される知財政策の将来を情報財の観点から検討する。
3特許政策(1)特許政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、ソフトウェア特許、ビジネスモデル特許の問題について情報財の観点から検討する。
4特許政策(2)特許政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、バイオ特許、医療方法特許の問題について情報財の観点から検討する。
5意匠政策デザイン政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、イギリス、韓国のデザイン政策を情報財の観点から検討する。
6商標政策(1)ブランド政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、地域ブランドを保護するために創設された「地域団体商標制度」、国家と地域ブランドの保護問題を情報財の観点から検討する。
7商標政策(2)音、色、動き、位置などの新しい商標の活用状況を情報財の観点から検討ける。
8著作権政策(1)コンテンツ政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、コンテンツ産業の実態と必要な政策を情報財の観点から検討する。
9著作権政策(2)デジタルコンテンツの現状を外部講師から報告を受ける。
10不正競争防止政策(1)不正競争政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、営業秘密や企業の知財戦略との関係を情報財の観点から検討する。
11不正競争防止政策(2)不正競争政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、営業秘密や企業の知財戦略との関係を情報財の観点から検討する。
12種苗政策(1)種苗政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、バイオ特許との関係を検討する。
13種苗政策(2)種苗政策の日本と海外の現状と取り組みを学ぶ。特に、バイオ特許との関係を情報財の観点から検討する。
14地理的表示保護政策2015年6月から開始された地理的表示保護制度の所管官庁や世界的な保護の現状を情報財の観点から検討する。
15レポート講評院生のレポート発表と講評

4.教科書

レジュメを配布する。

5.参考書・参考論文

『著作権の法と経済学』林紘一郎編著・勁草書房(2004)
『社会と知的財産』生越由美他・日本放送出版協会・2008年3月
『デジタル時代の知的資産マネジメント』林紘一郎・生越由美他・2008年4月
その他、最初の授業でHPのURLなどを指示する。(法規集を購入する必要はない)

6.関連科目

  • 法学基礎
  • セキュリティの法律実務
  • セキュア法制と情報倫理

7.成績評価の方法

毎回の10分間レポート30%、授業への貢献30%、期末レポート40%として評価する。