学長挨拶
明日の信頼を創る
情報セキュリティ人材を育成します
「情報」は、私たちの快適な生活、持続可能な経済活動、そして円滑な社会運営を支える基盤であり、その健全な利活用を支える「情報セキュリティ」の重要性は、かつてないほど高まっています。近年、特定の企業や組織を狙った標的型攻撃、巧妙化するフィッシング詐欺、偽情報の拡散、機密情報の漏えい、さらには国家間のサイバー攻撃に至るまで、情報をめぐる脅威は多様かつ深刻化の一途をたどっています。これらの課題に立ち向かい、強靭で信頼性の高い情報環境を構築するためには、理論と実務の両面に通じた高度な専門人材の育成が不可欠であり、それは我が国のみならず国際社会全体に共通する最重要課題です。
本学は2004年の開学以来、「新しい学問の体系化」と「現実の課題解決に挑む専門家の育成」を建学の理念とし、情報セキュリティ専門の大学院大学として、教育と研究を一貫して推進してまいりました。暗号、ネットワーク、システム技術、組織マネジメントに加え、情報セキュリティに関わる法制度、倫理、心理といった多様な領域を統合することで、世界に誇るべき情報セキュリティの学術基盤を築き上げております。また、急速に変化する社会情勢や技術動向に対応すべく、教育・研究体制の柔軟な見直しを重ね、実社会のニーズに即した人材育成を追求しています。
開学以来、本学は文部科学省より「研究と実務の融合による高度情報セキュリティ人材育成プログラム(ISSスクエア)」や、「分野・地域を超えた実践的情報教育協働ネットワーク(enPiT)」の助成を受け、専門知識と実践力の双方を養う教育プログラムの充実に努めてまいりました。さらに、民間企業や官公庁と密接な連携を築き、共同研究や公開ワークショップを通じて、産業界や地域社会との協働体制の強化を図っております。
2024年度末までに、本学は修士課程584名、博士課程54名の修了生を輩出し、彼らは現在、産業界および官公庁において、情報セキュリティの中核を担う存在として活躍しています。これらの卒業生が築く人的ネットワークは、分野や組織の垣根を越えて拡がり、社会全体の安全と信頼性の向上に大きく寄与しています。こうした卒業生の活躍と連携こそが、本学の最大の成果の一つといえるでしょう。今後も本学は、グローバルな視野と実践的能力を兼ね備えた人材を育成し、強靱で信頼性の高い情報社会の構築に貢献し続けてまいります。
学長