在学生インタビュー

ブラックボックス化しやすいAIの推論過程に介入し信頼性が高く、高精度の結果が得られる解析手法を開発。

マルウェア解析の部署への異動でIISECに入学

大学では物理学専攻で、情報セキュリティに関する知識は主に入庁後の業務で習得してきました。しかし、 マルウェア解析の業務を行う中で、より専門的・体系的に情報セキュリティを学ぶ必要性を痛感。その後、 所属からの派遣でIISECに入学して、今は学業中心の毎日です。院生室が勉強に集中しやすい環境のため、 基本的に登校し、夕方の学生交流の場“ティータイム”にも参加しています。他の省庁や金融業界、セキュリティ 業界など違う分野の方とセキュリティについて話すのは大いに勉強になりますね。

関数に着目することでAIによる解析の信頼性を向上

授業では情報デバイスやOSなどマルウェアと関連が深い科目を学べたほか、他の学生から多様な発表内容 を聞ける「情報セキュリティ輪講」で情報セキュリティについての視野が広がりました。さらに、私自身の興味 もあって「AIと機械学習」を履修。科目を担当する大塚先生のゼミで指導を受けながら研究を進め、ブラックボッ クス化しがちなAIの予測根拠を示し、信頼性の高いマルウェア分類を行う手法「FCGAT」を開発しました。 これはプログラム開発によく用いられる関数に着目してAIにマルウェアを解析・分類させる手法で、世界トッ プレベルの精度を実現しています。アメリカで開かれたセキュリティ分野の国際会議併設のワークショップにも 参加し、「Interpretable Malware Classification Method using Function Call Graph and Attention Mechanism」という演題で発表して、参加者から高く評価されました。

情報セキュリティと機械学習のスペシャリストを目指す

現在はマルウェアをデコンパイルしてソースコードを調べる解析手法を、大規模言語モデルを使ってより効率 化する研究にも取り組んでいます。AIを用いた高度な攻撃も増えてきますし、その対抗手段として、私は情 報セキュリティとAIのスペシャリストを目指して知識・技術を磨きたいと考えています。IISECで情報セキュリティ の幅広い知識を体系的に習得でき、AIと機械学習について理論面からしっかり学べたことは、これからの警 察庁での業務や研究活動の大きな支えになってくれるでしょう。

M. S. さん
警察庁サイバー警察局情報技術解析課
2022年10月入学
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