在学生インタビュー

長迫 智子 さん

多様なサイバー攻撃で選挙に干渉することを狙う
デジタルゲリマンダーへの対処を提言。

インテリジェンスの専門家からも学べる

私は幼少期にニュースで見た事件の衝撃から国の安全保障の重要性を認識し、そうした仕事に就くことを目標にしてきました。 リアルな空間からサイバー空間に安全保障の領域が広がる中、必要な知識を身につけたいと考えてIISECに入学。インテリジェンスの現場で働く専門家の講義では最前線のお話を聞くことができてとても勉強になりました。 そして、インシデント対応、脆弱性検査、不正侵入等を体験する技術系の実習などは、私のような人文系出身の人間でも、基礎から理解できるように非常に丁寧にカリキュラムが組まれており、先生にも親身にご指導いただけたので安心して演習に取り組め、実際の技術を体得できて非常に面白かったです。

国際法で裁けない海外からのサイバー攻撃

修士論文は湯淺先生の指導のもと、サイバー攻撃による選挙干渉で特定の候補者を優位または不利にすることを狙う「デジタルゲリマンダー」をテーマに執筆中。 選挙の公的な報告書や新聞記事などをもとに各国が受けたサイバー攻撃の事例を研究し、日本での対応を検討しています。 海外からのサイバー攻撃でも、選挙情報への不正アクセスやリーク、フェイクニュースの拡散程度では干渉行為と見なされず、現状では、国際法での対処は難しいと見られます。 このため論文では、SNSやフェイクニュース規制等の事前策と、不正な資金の流れから攻撃実行者と指示関係にある国家機関の関係を実証し制裁を与える事後策という、各国でとられている対策を両輪として検討しつつ、加えて、アトリビューション能力の強化と官庁の縦割りによるサイバー戦略への弊害を克服するため、サイバーインテリジェンスに総合的に対処するサイバーセキュリティ庁の創設を一案として考えています。

研究内容や将来の進路を業界人脈が支援

またIISECは多様なバックグラウンドの学生が在籍し、加えて在学中から同窓会に入り、社会で活躍する卒業生とも交流が深まるのも特色。 私の研究についても、関係機関の方や関連分野の研究者の方からご意見、ご助言をいただいたり、研究テーマに密接な研究会やセミナーをご紹介いただいたりと、人脈面でも多くのご助力をいただきました。 将来のために思い切ってIISECに入学して、一気に世界が開けたように感じます。そして最後には、先生、在学生、卒業生の人脈を通じて昔からの目標をかなえたいですね。

長迫 智子 さん
独立行政法人 日本学術振興会勤務
2017年10月入学
在学生インタビュー一覧に戻る