在学生インタビュー

自動運転の車による事故の法的責任を検証するため周囲の車が持つデータから事故車の挙動を探れないかを研究。

技術の進展で変わる事故現場への対応を目指して

警察庁の技術職として、捜査に関わる電磁的記録を扱うデジタルフォレンジックを担当しています。交通関係 の案件を扱う中で、近い将来問題となる自動運転車による違反・事故の法的責任に興味を持ち、体系的に 研究しようとIISECに入学しました。仕事は必要な技術の話に終始しがちですが、大学院では情報倫理や マネジメントなど幅広く学べ、自らの業務を異なる観点から見つめ直すことができました。学生同士のディスカッ ションも多く、官公庁のほか、セキュリティベンダーやユーザー企業など、さまざまな立場の社会人学生から の意見で視野も広がりました。

自動運転の特性を生かしたデータ収集で事故車の挙動を追う

事故や事件に関する電磁的証拠は、警察が証拠となるデータの保全と解析を行うのが一般的です。しかし、 自動運転の車では車体の大破やマルウェアの感染などにより、データの収集・解析ができないケースも考えら れます。私はその解決策の一つとして、自動運転の車が周りの車と協調して動くよう想定されている点に着目。 周囲にいた車が持つデータから、事故を起こした車の挙動などを調べられないか検討しています。周囲から得 た情報を機械が直接判断して動く点で、自動運転の車とIoTは類似しています。私の指導教員の松井俊浩 先生はIoT 研究の第一人者で、IoTで使われる技術や運用上の課題など貴重なアドバイスをいただきながら、 論文執筆が進められました。一方、周囲を認識するセンサーや通信機器が外部からの攻撃対象になりやすい 点もIoTと類似しており、今後は自動運転の車も情報の入り口部分のセキュリティ強化が必要と考えています。

セキュリティに関する最新情報を業務にも生かす

このほかIISEC と中央大学、企業などの共同プログラムであるISS スクエアの分科会にも参加。月1 回ほど のオンライン開催でしたが、私が研究していた自動運転やIoT 以外の専門分野も討議する機会ができ、新 たな知見も得られました。大学院で知識・技術を自らアップデートする力も養えたと思いますし、職場に 戻っても常にセキュリティに関する最新の情報を手に入れ、それらを業務に生かせると期待しています

松本 悟 さん
警察庁サイバー警察局情報技術解析課勤務
2020年10月入学
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