在学生インタビュー

情報通信技術の発展による国際訴訟のIT化に対応するための立法や訴訟対応を研究。

これからの弁護士に必要な情報セキュリティの知識

法学部在学中に司法試験に合格し、法務省のほか関係省庁に勤務。定年後に弁護士になりました。在職 時にアメリカのロースクールで法学修士(Master of Laws)を取得し、法務省で欧米・中国・韓国などと の条約締結等の交渉を経験したこともあって、国際訴訟に関する研究をしています。業務で扱う企業活動の 資料でも、近年はドキュメントファイルや画像資料などデジタルデータの重要度が増し、デジタル証拠の保全も 課題です。弁護士としてそうした資料の適切な扱い方を学びたいと考えIISECに入学しました。今後は多く の弁護士にも、仕事で必要になる情報セキュリティの知識を身につけてほしいと感じています。

国際的ディスカバリに適切に対応するために

入学後は情報セキュリティに関する科目を幅広く学び、他大学・企業と協業する研究プログラムISSスクエアで は、法制・倫理分科会で「メタバースの法的・倫理的課題」の共同研究に取り組むなど、興味を広げられました。 現在の研究テーマは、アメリカの民事訴訟におけるディスカバリという手続きが持つリスクに対して日本がとるべ き対策です。ディスカバリは訴訟に関する情報や証拠を互いが事前に開示して、訴訟における真実追求を目 指すものですが、本来は訴訟と関係のない情報も開示を迫られるケース、アメリカ以外での訴訟のためにアメ リカにある関連会社の情報開示を要求されるケースも増え、企業が持つ重要情報が流出するリスクが増大して います。一方で、日本企業がディスカバリで外国企業の情報を得ようとする新たな動きも見られるため、私の研 究では国と企業が協力してディスカバリの適正利用のための立法や訴訟対応を検討するよう提言しています。

文理が混在した視点が研究を進めるヒントにも

この研究過程では、指導教授の後藤先生からの提案で、約174万件あるディスカバリ関連のアメリカの判例 を分析し、ある判例がその後の判例のリーディングケースになっていることをデータに基づいて分かりやすく図 示するなど、文理融合で学ぶ面白さを実感しました。学生も多様なバックグラウンドや業界、年齢が混在し、 ロビーに集まり歓談する“ティータイム”にも自然に参加できるなど、ごちゃまぜの垣根のなさも魅力の一つです。

片岡 弘 さん
麻布台片岡法律経済事務所
2022年4月入学
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