シラバス
特設講義 ブロックチェーン理論(後期2単位)
教授 大塚 玲
1.授業のねらい
本講義では,ブロックチェーンが実現する合意形成技術を基礎理論から理解することを通じて,現代社会に広がりつつある暗号通貨,スマートコントラクトの仕組みと安全性・リスクについての深い理解を得ることを目標とする.授業では社会科学系の学生にも理解できる平易な説明を心掛けるが,理系の学部卒程度の数学および情報科学の知識を前提とする.
2.到達目標
- デジタル通貨とブロックチェーンの基礎理論を理解する.
- スマートコントラクトの仕組みおよびその展開について理解する.
- ブロックチェーンの社会応用についてのビジョンを持つ.
3.授業計画と開講形態
原則として教室での対面授業として開催する。
第1回 ブロックチェーンの基礎
<分散システム, 状態レプリケーション,シリアライザ>
- Permissioned Blockchain
第2回 耐故障とPaxos
<チケットプロトコル, Paxos>
第3回 コンセンサス
<ランダム化コンセンサス,共有コイン>
第4回 ビザンチン合意
<ビザンチン合意問題, KINGアルゴリズム>
第5回 ブロードキャストと共有コイン
<非同期ブロードキャスト,メッセージ交換ブロードキャスト>
第6回 認証技術と合意
<PBFT,ビザンチン故障>
第7回 コーラムシステム
<コーラムシステム,ビザンチンコーラム>
- Permissionless Blockchain
第8回 結果整合性とビットコイン
<結果整合性,弱一貫性, Proof of Work>
第9回 Selfish Mining
第10回 共通プレフィックス定理
第11回 テストと解説
第12-13回 スマートコントラクト
<Bitcoin Script, Pay2Hash, Payment Channel>
第14回 暗号資産の匿名性
第15回 演習(レポート発表)
4.教科書
参考書の邦訳を配布
5.参考書(暫定)
- Roger Wattenhofer, "Distributed Ledger Technology -The Science of the Blockchain," Inverted Forest publishing 2017, ISBN-10:1544232101.
6.関連科目
暗号プロトコル,暗号理論,数論基礎,アルゴリズム基礎,AIと機械学習と関連がある.
7.成績評価の方法と基準
到達目標を充足しているかどうかを評価の基準として,試験とレポート(90%)により評価する.なお、質問など授業への積極的な参加も評価対象とする(10%).