在学生インタビュー
安全性や利便性を高める「パスキー」の利用促進に向け行動経済学を応用したより効果的な通知デザインを研究。
実体験をもとに「人」に着目した情報セキュリティを研究
10年ほど前、私も利用していた企業で起きた顧客情報の流出事故でセキュリティに関心を持ち、より専門的 に学ぶためIISECに進学しました。そのインシデントも個人の不適切な行為が原因だったことから、情報セキュ リティ心理学が専門の稲葉先生のもとで「人」に着目したセキュリティを研究しています。IISEC はセキュリティ を軸に多様な分野を学べる上、実社会でセキュリティ業務に携わる社会人学生とも交流できます。雑談の中 で聞いた、企業がセキュリティ強化のため新ルールを設定しても、従業員が「仕事がやりにくい」と感じれば 徹底されない可能性もあるといった話は、セキュリティと心理学の関係を考える上でも役立ちました。
利用場面を想定して社会実装しやすい研究を目指す
現在の研究テーマは、フィッシング詐欺対策にも有効で、ユーザーは指紋や顔などの生体認証でWEBサービ スを利用できるなど、ログイン時の安全性・利便性を高める「パスキー」について。私はパスキーの利用が 進まない現状に着目し、「パスキー自体があまり知られていない」「知っていても設定が面倒に感じる」などユー ザーがパスキーを使わない理由を明らかにした上で、心理学の観点から利用を促す手法を検討中です。稲 葉先生からは実社会で使われる場面を具体的に意識して研究するようアドバイスを受け、WEBサービスの管 理者がユーザーにパスキーを使ってもらうシーンを想定。行動経済学のナッジ理論をもとに、スマートフォンや PCの画面にいつどんな言葉で利用を促すメッセージを表示させると効果的かを探り、論文にまとめる予定です。
修了後は社会全体のセキュリティ向上にも取り組みたい
20周年を迎えたIISEC の強みは、修了した先輩たちがセキュリティ業界の様々な分野に広がり、人的ネットワー クを築いている点だと思います。しかも在学中は対面授業で直接会う機会が多く、1階ロビーが交流の場に なる“ティータイム”などで研究室を超えたつながりも広がります。内定先のSIerではセキュリティ部署に配属 予定で、多くの先輩方のように社会全体のセキュリティを向上させる仕事ができたらと考えています。

法政大学情報科学部出身
2023年4月入学