情報システム構成論(後期2単位)

教授 後藤 厚宏、教授 須崎 有康、教授 桑名 栄二

1.授業のねらい

高品質の情報システムを構築するためにコンピュータ、ネットワーク、オペレーティングシステム、ミドルウェア、大規模情報サービスの特性と構成法を学習する。前半では、システム品質の評価基準、システムのモデル化手法、プロセスの構造、抽象データ型などのシステム工学的概念とその上のソフトウェア構成技術、データベース、分散オブジェクトシステムなどを習得する。後半では、クラウド、Web、GRIDなどのシステム、及びXML言語、様々な応用システムとその開発技術、システム評価手法などの基礎および先端知識を習得する。また、システムの要求性能を満たすための設計や経営戦略やビジネス継続性などへの対応の方法について学修する。

2.到達目標

現代の情報システムの構成要素とその組み合わせ方を理解するとともに、複雑、大規模化する情報システムの品質を向上させるための各種方式の考え方を習得する。また、インターネットに構築される情報システムの最新動向について知る。

3.授業計画と開講形態

・ 第1回 システム工学
  大規模システム、ソフトウェアの品質、SysML、シミュレーションの考え方
・ 第2回 システム開発体系
  Software Life Cycle Process、ソフトウェアの開発モデル、FP法による開発コスト見積りの概要と考え方
・ 第3回 信頼性と高信頼化技術
  信頼性理論の基本、 MTBF、 MTTR、 高信頼化技術の考え方
・ 第4回 Autonomic Computing
  システムの稼働率と、Autonomic Computingのおける自己構成、自己修復、自己最適化、自己防御の考え方
・ 第5回 コンピュータアーキテクチャとOS
  CISC、RISC、特権命令、MMU、マイクロカーネル、組込みOS
・ 第6回 メモリ管理・キャッシュ
  ローダ、再入可能、ガーベージコレクション、投機実行、Meltdwon&Spectre
・ 第7回 プログラム言語とその処理
  コンパイラ、インタープリタ、中間言語、ツールチェーン
・ 第8回 バージョン管理とテスト開発
  Git、 Docker、 Continuous Integration(継続的インテグレーション)、SBOM
・ 第9回 分散システムと分散OS
  クライアントサーバ、クラウド、ネットワークブート、マイグレーション
・ 第10回 データベースシステムとトランザクション
  リレーショナルデータベースの基本として、SQL、表結合、トランザクション等の考え方
・ 第11回 並列処理
  アムダールの法則を通して並列処理の課題とSIMD、 MIMD、 パイプライン、 マルチプロセッサの概要
・ 第12回 GRID、クラウドから大規模分散処理システム
  GRIDの考え方、クラウドの特徴、GFS、 Bigtable、 Map Reduceの概要と分散処理可能性
・ 第13回 WebサービスとSOA
  XMLの概要およびWeb ServiceとSOA(Service Oriented Architecture)の狙いと考え方
・ 第14回 エンタープライズアーキテクチャ
  エンタープライズアーキテクチャの狙いとビジネス/アプリケーション/データ/テクニカルアーキテクチャ、ガバナンスの考え方
・ 第15回 レポート発表とディスカッション

なお順序は、進度によって変更することがある。

4.教科書

特に指定しない

5.参考書

  • David Patterson, John Hennessy,コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 下
  • 北川 博之 データベースシステム(改訂2版)オーム社
  • Donald Knuth, “The Art of Computer Programming, Vol.1-4,” Ascii Press, 2015.
  • Andrew S. Tanenbaum and Herbert Bos, “Modern Operating Systems”, Pearson, 2014.
  • Daniel P. Bovet and Marco Cesati, 「詳解Unixカーネル」、高橋浩和(監修)、O’Reilly, 2007.
  • アンドリュー S. タネンバウム、他、「分散システム -原理とパラダイム- 第2版」、2009.

その他、講義の中で適宜紹介する。

6.関連科目

授業に先立って、あるいは並行して、以下の授業の受講を勧める。
・情報デバイス技術
・オペレーティングシステム
・ネットワーク設計とセキュリティ運用
・プログラミング
・実践的IoTセキュリティ

7.成績評価の方法と基準

・講義中に実施する小テスト(40%)と課題レポートの成績(40%)および講義内での議論への積極的な参画状況(20%)を評価する。