シラバス GRADUATE SCHOOL
特設講義(インテリジェンスの基礎)(前期2単位)
教授 小林 良樹
1.授業のねらい
インテリジェンスとは、例えば「国家安全保障に関する政策決定者の意思決定を支援するシステム」と言うことができます。本講義の目的は、各履修生が、インテリジェンス研究に関する知識と思考枠組みを修得し、そうした理論枠組みを踏まえつつインテリジェンス関連の現実の諸課題を「自分事」として冷静かつ客観的に考察できるようになることです。特に、サイバーセキュリティ、経済安全保障、「情報戦」、(企業等における)リスクコントロール等の隣接分野とインテリジェンスとの関係を踏まえた問題意識の涵養が期待されます。
2.到達目標
本講義の受講を通じ、各受講生は以下の知識、技能の取得が期待されます。
・インテリジェンスに関する学術理論上の基本的な概念、考え方等を理解し、説明することができる。
・インテリジェンス関連の現実の具体的な事案等を、学術的な概念、理論に基づき分析、説明することができる。
・インテリジェンス関連の現実の諸問題に関して、学術理論に基づく適切な政策提言等主体的に考察し、説明することができる。
3.授業計画と開講形態
第01回:シラバス、イントロダクション(教科書:1章)
事例:キューバ危機、ビンラディン掃討作戦、イラク大量破壊兵器問題等
第02回:インテリジェンスの定義・機能 ① (教科書:2章)
政策決定者の意思決定を支援する機能
第03回:インテリジェンスの定義・機能 ② (教科書:4章)
その他の特徴
第04回:インテリジェンス・プロセスに基づく理論体系(教科書:5章)
リクワイアメント、収集、分析、生産、伝達、フィードバック
第05回:理念に基づく理論体系(教科書:3章)
客観性の維持、リクワイアメント優先、秘匿性の確保、民主的統制
第06回:日本のインテリジェンス・コミュニティ(教科書:6章)
制度、歴史、特徴、課題
第07回:米国のインテリジェンス・コミュニティ(教科書:7章)
制度、歴史、特徴
第08回:収集(教科書:8章)
OSINT、HUMINT、SIGINT、GIOINT
第09回:分析(教科書:9章)
優れた分析プロダクトの基準、分析をめぐる課題(バイアス、Groupthink等)
第10回:カウンターインテリジェンス (教科書:10章)
概念(情報セキュリティとの関係)、理論的な課題、日本の状況
第11回:秘密工作活動 (教科書:11章)
概念、理論的な課題
第12回:インテリジェンス・コミュニティに対する民主的統制(教科書:12章)
概念、米国の制度、日本の制度と課題
第13回:新たな課題(教科書:13章)
地球規模問題(テロ、温暖化)、技術発展(サイバー、生成AI等)、「情報戦」等
第14回:総括
一学期間のまとめ
第15回:期末課題
学生による期末課題の発表
4.教科書(学生が履修するにあたって必携のもの)
小林良樹『なぜ、インテリジェンスは必要なのか』(慶應義塾大学出版会、2021年)
5.参考書
①Lowenthal, M., Intelligence - From Secret to Policy (10th Edition). (CQ Press, 2025)
②ローエンタール、マーク(著)・小林良樹(訳)『インテリジェンス:機密から政策へ』(上)(慶応義塾大学出版会、2025年)
③小谷賢『日本インテリジェンス史-旧日本軍から公安、内調、NSCまで』(中公新書、2022年)
④小林良樹『インテリジェンスの基礎理論』(講談社、2025)
6.関連科目
セキュリティと法律実務(第11回から第15回)(前期)
特設講義(国際関係論)(後期)
7.成績評価の方法と基準
各項目の詳細は8.を参照して下さい。
・小テスト:30%(第1回から第13回の授業後に実施)
・事後コメント:30%(毎回の授業後に提出)
・ニュース発表:10%(第8回から第14回の授業内において実施)
・期末課題:30%:分析レポートの作成等
8.その他
毎回の授業の終了後から次回授業までに、授業内容を確認する小テストを受験して下さい(Google Classroom上で受験)。形式は選択式。毎回5-10題。時間は無制限。回答に当たり、授業資料及び教科書を含めて何を参照しても構いません。
毎回の授業の終了後から次回授業までに、授業内容を踏まえた事後コメント(自分自身にとっての新しい気付き、疑問点等)を提出して下さい(Google Classroomを通じて提出)。提出されたコメントの内容及び教員からのフィードバックは全履修生に共有されます。
毎回の授業の冒頭に、予め指定された学生(1-2名)が、関心のあるインテリジェンス関係のニュースを紹介した上で、授業で扱った理論等に基づく説明を試みるものです。。
アプローチとしては、例えば、インテリジェンスに関連する何らかの事象に関し、授業で取り扱った理論枠組みに基づいて分析を加えることが考えられます。