シラバス GRADUATE SCHOOL
特設講義(国際関係論)(後期2単位)
教授 小林 良樹
1.授業のねらい
本講義の目的は、各履修生が、国際政治学の基礎的な知識と思考枠組みを修得し、そうした理論的枠組みを踏まえつつ国際社会における現実の諸課題を「自分事」として冷静かつ客観的に考察できるようになることです。具体的には、「我が国の企業活動等は国際情勢によってどのような影響を受けているのか」、「それは、自分自身の業務や将来キャリアにどのように影響するのか」等の問題意識の涵養が期待されます。特に、各種の技術発展(サイバー、生成AI)、経済安全保障、「情報戦」等の現代の諸課題を国際政治学の枠組みに基づき理解する問題意識の涵養が期待されます。
2.到達目標
本講義の受講を通じ、各受講生は以下の知識、技能の取得が期待されます。
- 国際政治学の基本的な概念、理論等を理解し、説明することができる。
- 国際社会における現実の具体的な事象を、学術的な概念、理論等に基づき分析、説明することができる。
- 国際社会の中で、自分(あるいは所属組織等)が採るべき方針等を主体的に考察し、説明することができる。
3.授業計画と開講形態
第01回 シラバス、基本概念(教科書:1章1-2)
主権国家、国益、国力
第02回 イントロダクション
日本社会とグローバリゼーション、外国人材受け入れをめぐる議論
第03回 国際政治学の基礎1(教科書:2章)
リアリズムの分析枠組み
第04回 国際政治学の基礎2(教科書:3章、5章)
リベラリズムの分析枠組み、コンストラクティビズムの分析枠組み
第05回 国際政治学の基礎3(教科書:1章1-2)
国際関係の分析のレベル(個人、国内政治、国際構造)
第06回 国際政治学の基礎4:ケーススタディ
国際政治理論は現実をどう説明するのか?(ウクライナ戦争等)
第07回 中間試験
第08回 応用編1:日本の安全保障(教科書:6章)
日本の国益、直面する情勢、戦略
第09回 応用編2:中東・湾岸地域
中東地域をめぐる日本の国益、現状、国際政治理論に基づく分析
第10回 応用編3:中国・北朝鮮
中国・北朝鮮をめぐる日本の国益、現状、国際政治理論に基づく分析
第11回 応用編4:国内問題の対外政策への影響:米国政治と対外政策
米国社会の「右傾化」の動向:トランプは「右傾化」の「原因」か「結果」か?
第12回 応用編5:グローバル・イシュー①(教科書:11章)
地球温暖化問題の現状、国際政治理論に基づく分析
第13回 応用編6:グローバル・イシュー②
非国家主体(テロ、国際組織犯罪等)をめぐる国際政治上の課題と国際政治理論
第14回 応用編7:グローバル・イシュー③
技術発展(AI、サイバー等)をめぐる国際政治上の課題と国際政治理論
第15回 期末課題
学生による期末課題の発表
4.教科書(学生が履修するにあたって必携のもの)
草野大希・小川裕子・藤田泰昌(編著)(2023)『国際関係論入門』(ミネルヴァ書房)
5.参考書
(1) 国際政治学の理論に関するもの参考書
① 村田晃嗣他(2023)『国際政治学をつかむ 第3版』(有斐閣)
② 山田高敬等編(2011)『グローバル社会の国際関係論 - 新版』(有斐閣)
③ 吉川直人・野口和彦編(2015)『国際関係理論 第2版』(勁草書房)
④ 岡垣知子(2021)『国際政治の基礎理論』(青山社)
※いずれも興味がある場合のみ。①②は初学者向き。③④はやや高度な内容です。
(2) 技術発展と国際政治学の関係に関する「文系視点」の論考
⑤ 谷脇康彦(2023)『教養としてのインターネット 世界の最先端を知る「10の論点」』(日経BP)
⑥ 土屋太洋(2025)『海底の覇権争奪 知られざる海底ケーブルの地政学』日経BP)
※⑤は「ネットワーク技術の進化が社会・経済にどのような変革を迫っているか」との視点からの論考。⑤は「インターネットの物理的な支配権(海底ケーブル等)を巡る米中等の攻防」に関する論考。
6.関連科目
特設講義(インテリジェンスの基礎)(前期)
7.成績評価の方法と基準
各項目の詳細は8.を参照して下さい。
・小テスト:10%(第1回から第6回の授業後に実施)
・事後コメント:20%(毎回の授業後に提出)
・ニュース発表:10%(第8回から第14回の授業内において実施)
・中間テスト:30%(第7回の授業において実施)
・期末課題:30%:分析レポートの作成・発表(履修者数に応じて、グループワークとなる可能性があります)
8.その他
毎回の授業の終了後から次回授業までに、授業内容を確認する小テストを受験して下さい(Google Classroom上で受験)。形式は選択式。毎回5-10題の予定。時間は無制限。回答に当たり、授業資料及び教科書を含めて何を参照しても構いません。
毎回の授業の終了後から次回授業までに、授業内容を踏まえた事後コメント(自分自身にとっての新しい気付き、疑問点等)を提出して下さい(Google Classroomを通じて提出)。提出されたコメントの内容及び教員からのフィードバックは全履修生に共有されます。
第7回の授業の中で実施(Google Classroom上で受験)。形式は選択式。25-30題程度の予定。回答に当たり、授業資料及び教科書を含めて何を参照しても構いません。
毎回の授業の冒頭に、予め指定された学生(1-2名)が、関心のある国際関係のニュースを紹介した上で、授業で扱った理論等に基づく説明を試みるものです。
アプローチとしては、例えば、国際社会における何らかの事象に関し、授業で取り扱った理論枠組みに基づいて分析を加えることが考えられます。
例)リアリズムに基づく米中の戦略競争の分析、生成AIをめぐる国際ルール形成の可能性と限界、特定企業のサプライチェーンに関する国際政治理論に基づく分析