個人識別とプライバシー保護(前期2単位)

教授 後藤 厚宏・教授 湯淺 墾道・教授 林 紘一郎

1.授業のねらい・到達目標

 本講義では、最初に個人識別と本人認証の原理を技術の面からに解説し、それをベースにインターネット社会における本人認証の仕組みと利用における技術的・法的課題について、具体的事例を通して学ぶ。
次に、個人識別や本人認証技術と深い関係を持つプライバシー保護の問題について、法律的な視点と技術的な観点から問題点を理解する。
最後に、講義の内容を基礎として演習を行い、受講者の理解を深めると同時に具体的事案に対する対応力を養うこととする。
到達目標は、個人識別とプライバシ―に関わるインターネット社会の諸課題について、技術面と法律面の両面から対応する基本能力を身につけること。

2.授業計画

本講義は、後藤・湯淺・林のリレー講義形式と演習(計15回)で実施する。
また、以下の(1)と(2)の各講義は、適宜、織り交ぜて行う。(3)の演習は、15回講義の最後の3回にて行う。
(1) 技術面(後藤)
 (ア) 個人識別と本人認証の技術の概要
 (イ) パスワード、PKI、バイオメトリック他
 (ウ) 認証基盤、電子申請・電子申告、電子商取引等
 (エ) アイデンティティ管理とID連携
 (オ) 認可連携と属性交換
 (カ) クラウドサービスに向けた技術動向
 (キ) ビッグデータサービスにおけるプラバシー保護技術の動向

(2) 法律面(湯淺・林)
 (ア) プライバシーの語源と空間的・時間的展開
 (イ) 人格権的保護と財産権的保護
 (ウ) 個人データの保護とプライバシーの保護
 (エ) CESS型理解とPASS型理解
 (オ) ケース・スタディ

(3) 演習(後藤・湯淺・林)
 (ア) 演習課題の提示と説明・解説
 (イ) 受講生による相互発表、討議
 (ウ) 受講生による相互発表、討議

3.教科書

特に指定しない。

4.参考書

  • 板倉征男・外川政夫著『社会システムと本人認証-基礎から応用まで』(コロナ社、2010 年)
  • Tim Mather 他、下道高志 監訳『クラウド セキュリティ&プライバシー』(オライリー・ジャパン、2010)
  • ビッグデータとプライバシー  Terence Craig, Mary E.Ludloff 著、後藤厚宏 監訳、高崎拓哉、株式会社トップスタジオ 訳 2013年08月 発行
  • 小向太郎『情報法入門』(NTT 出版、2008 年)
  • 岡村久道『情報セキュリティの法律』(商事法務、2007 年)
  • ダニエル・J・ソローブ(大谷卓史訳)『プライバシーの新理論』(みすず書房、2013年)

5.関連科目

インターネットテクノロジ、不正アクセス技法、セキュリティ管理と経営、セキュリティの法律実務、セキュア法制と情報倫理、法学基礎礎

6.成績評価の方法

講義における議論への参画状況(80%)と期末の演習レポート(20%)により評価する。